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2016年03月15日

Functional Dyspepsia

「胃の調子が悪い」「なんだか胃がもたれる」「胃が痛い」
こんな症状を訴える人って多い。


もしかしたら胃潰瘍?
まさか・・・胃癌??


きゃー怖い\(〇_o)/

・・・と思って病院に行って、
バリウム飲んだり、胃カメラなど検査をしてみたけど、
結局、症状の原因になりそうなものは発見されず・・・

「まぁ、ストレスでしょう」とか、
「神経性胃炎でしょうなぁ」とか、

なんだか分かったような分からないような説明をされる。
そして、

「ストレスを溜めないようにしましょう」

・・・などという、
現代社会で生きる人には到底無理だろっo(>< )o o( ><)o
みたいなアドバイスを受けて終了。

どうすりゃいいの??(j oj)





こんな経験をされた方、多いのでは?
私もそんな一人ですが・・・(^^*ゞ


病名としては先にあげたような
神経性胃炎と言われたり、
慢性胃炎とか胃けいれんとか胃下垂とかってついたりするが、
明確に検査でハッキリと分かるわけではなくて、
症状など臨床的に判断して、
医者がテキトーに病名をつける(ぉ



最近では、以上のような胃部の不快な症状があるにも関わらず、
検査をしても原因になりそうな病変が見つからないとき、
機能性胃腸症とか機能性ディスペプシアと呼んだりする。


機能性ディスペプシアは
英語表記はFunctional Dyspepsiaなので「FD」と略す。

特徴的なのは、
30代から50代の比較的若い人から中年に多い、
男性よりも女性に多い、
発展途上国よりも先進国に多い
と言われている。

近年の調査では、
日本人の4人に1人がFDと言われるほどで
現代病の一つってことになるかなぁ。

そもそもFDという病気の概念は、
ごく最近になって確立されたもの。



以前は心身症の一種とされて、
「気の持ちよう」とか「神経質だから」で片づけられていたものが、
最近の研究では、胃に対する刺激を
脳が過敏に感じているものとして、
脳内の神経伝達物質がなんらかの影響を及ぼしているのでは??
・・・みたいなことが言われている。





ところで「ディスペプシア」って何かというと、
胃痛や胃もたれ、吐き気などの
消化機能が低下しているように感じる症状の総称。

では、「機能性」ってのは・・・



「体調が悪い」とか「〇〇が痛い」といった場合に、
それを疾患として大きなくくりで分けると、
“器質的疾患”と“機能的疾患”に大別することができる。

器質的疾患とは、
生体組織自体に異常が生じた疾病の総称で、
例えばレントゲンやCTとかなどで、
明らかに病態が確認できるものを言う。

機能的疾患とは、
生体組織に異常が見当たらないが、
臓器や器官などの動きが低下したり、
なんらかの症状が生じるものを言う。











以前、ここで紹介したPrecordial Catch syndrome(前胸部キャッチ症候群)も
機能的疾患の一つ

Precordial Catch syndrome(2015/04/27)








機能的疾患は、
命に関わるような病気ではないことから、
いままであまり注目されていなくて、
研究自体も進んでいない分野であったが、
症状のせいで社会生活に支障を来たす場合もある。

最近ようやくちょっとずつ、
これらの病気も解明への道が見えつつある。
posted by すだち at 23:59| 岡山 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 医療関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月15日

新しい健康概念を押さえておくことが診療報酬改定を解くカギになる。

先日、厚労省より平成28年度の
診療報酬改定の基本方針が出された。


その中にこんな一文がある。
「高齢化の進展に伴い疾病構造が変化していく中で、「治す医療」から「治し、支える医療」への転換が求められるとともに、健康寿命の延伸の観点から予防・健康づくりの取組が重要となってくる」



病院とは治療するところ。
「病気や怪我を治したい」
患者さんの思いの多くはそこにある。


でも、医者は魔法使いでもなければ神でもない。
医療が発達した現代社会においても、
治せない疾患は数多くある。
誤解を恐れずに言えば、
ほとんどの病気は実は治せない。


慢性疾患・・・糖尿病や高血圧など・・・
いろんな治療法があるが、
完治させることができるわけではないし、
人は病気とともに生きていかなければならない。



こう考えたときに、
「そもそも健康って何だろう?」って。




健康という概念は時代とともに変わっている。
WHOが設立された1958年に、
健康概念についてこのように提唱された。

「健康とは、身体的にも精神的にも社会的にもすべての要素が揃った良好な状態のことをいい、単に疾病や虚弱ではないということではない」


例えば高齢者ならどうか。
多かれ少なかれ、なんらかの疾患を有している方が多く、
すべてが揃うのはなかなか難しい。
この定義でいうならば、
高齢者は皆(あるいは大部分の方が)、不健康ということになる。
果たしてそうなのだろうか?






WHOは1999年に新たな健康概念についてこのように提案している。

「健康とは身体的・精神的・霊的・社会的に完全に良好な動的状態であり、たんに病気あるいは虚弱でないことではない」
(Health is a dynamic state of complete physical, mental, spiritual and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.)


日本語訳にしてしまうと、
どうしても違和感を感じてしまう方もいると思うので、
ここでは英語の原文も併せて。

たぶん、日本語で分かりづらいのは
「霊的」と「動的状態」かと思うのですこし解説を。

「霊的」(spiritual)
霊的なんていうとなんだか宗教じみていて、
なんのことだか分からない感じであるが、
spiritualには、やる気とか前向きとか生きがい・・そんな意味合いが含まれている。
なので、ざっくりと意訳するならば「心豊かな状態」といった感じ。

「動的状態」(dynamic state)
そもそもなにが動的なのかというと、
健康であることと、疾病があることは、
常に変化しているものであって、
大きな視点で健康状態を捉えることを意味している。









つまり、
たとえ病気があったとしても、
たとえ体が不自由だったとしていも、
いきいきと充実した楽しい生活を送っていることこそが
「健康」といえるのではないだろうか?



一病息災
「持病が一つくらいある方が、無病の人より健康に注意して、かえって長生きであるということ」(広辞苑)





長く生きていれば、
誰しも怪我をしたり病気もする。
しかし、それは人生の中のマイナス要因ではなくて、
大きな視点でdynamicに捉えれば、
「一病息災」的に病気を受容し、
もっともっと前向きに心豊かに「spiritualに生きる」ことに
繋がっていく。
「健康」とは主観的であって個別的なものであり、
一人ひとりのwell-beingを実現する世界へ。




2025年問題を考えるうえで、
「健康とは何か?」をしっかりと捉えること。
ここを押さえておかないと、
今後の診療報酬・介護報酬の改定の意味が理解できなくなる。

posted by すだち at 23:59| 岡山 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 医療関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月03日

「患者申出療養」制度についてまとめておく。

まず、自由診療と混合診療について。

「自由診療」とは、公的な医療保険の枠外の診療であり、患者と医療機関との個別に契約を行ってなされる診療で、美容整形や歯科のインプラント、国内で未承認の海外医薬品の処方、未承認の治療法の実施などが挙げられる。自由診療は「自由」な契約によってなされるものである。

「保険診療」を受ける場合、「初診から治療の終了に至る一連の診療行為の中に、保険がきく診療行為と保険がきかない診療行為を混在させてはならない」というルールの制約を受ける。つまり「保険診療」と「自由診療」が混在する「混合診療」は原則として禁止されている。

「混合診療」は原則禁止であるが、ある一定の条件のもと認められている混合診療がある。一つは「評価療養」で、先進医療や治験などがこれにあたる。もう一つは「選定療養」で、入院中の差額ベッド代、歯科のインプラント、大病院での初診、制限回数を超える医療行為などがある。










2016年4月より「患者申出療養」が創設される。事実上の混合診療解禁とも言われている(厚生労働省は「無制限に解禁するものではない」としている)。患者からの申出により、審査の上で承認されれば、混合診療で治療を受けることができるようになる。

「患者申出療養」のメリットは、日本で承認されていない治療法が選択できるなど治療の選択肢が広がることが挙げられる。デメリットとしては、エビデンスの無い治療が安易に乱発されることによる健康被害などが起きる危険性があることが挙げられる。

「患者申出療養」で、お金のある人は選択肢が広がるが、お金の無い人は新しい治療が受けられないといった不公平感もある。選択肢が広がることで、「お金さえ払えばよりよい医療が受けられる」との声があるが、「金額が高い≠よりよい医療」であることを理解しておく必要がある。

未承認の治療法は、有効性や安全性が確立されていないので、受けるべき治療法かどうかを正確に判断する必要があり、そういった治療法に精通した理解ある「かかりつけ医」の存在が不可欠であり、安易にそういった治療法に飛びつくことの危険性があることも知っておきたい。
posted by すだち at 19:47| 岡山 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 医療関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月14日

若年者は高齢者と比較するとがんの進行が速いのはなぜか?

がん細胞には分化度というのがあって
「高分化」 「中分化」 「低(未)分化」に分類される。

元の正常な細胞に近いほど分化度が高い。
「高分化」は正常な情報を多く有しているため、
増殖は比較的ゆっくりであるため、悪性度は低い。

対して、「中分化」「低(未)分化」になるほど
細胞分裂のスピードが速いので、
悪性度は高くなり、浸潤や転移しやすい。


分化度は、がん化した元の細胞が、どの程度分化細胞だったのかが関わっていると考えられる。
また、がん化する際、どの遺伝子に傷がついているかにもよる。
人体は、60兆個の細胞から成り立っているとされる。
60兆個の細胞のどれかは、絶えずがん化してて、1個1個のがん細胞は、
自らの免疫細胞により処理されるので、がんは発症しない。

しかし、その中のごく一部が免疫細胞の処理をすり抜けて、
がん細胞となるのだ。




さて・・・
若年者はどちらかといえば高齢者と比較するとがんの進行が速いと言われる。
なぜ速いのか。




若年者でがんの進行が早いのは、
正常細胞でも低分化の幼弱な細胞が多く存在するから
がん細胞も低分化がん細胞の出現頻度が高く、
それにより進行スピードが速いと考える説もあるし、
若年者ではがん細胞の分裂が高齢者より速いから速いとも考えられる。


その機序は複雑でまだ解明されていない部分も多いので
明確にこれだと断言することはできない。
がん化には様々な遺伝子異常が蓄積しているので、
細胞増殖能や、新生血管の増生能や
間質における繊維芽細胞の活性化やサイトカイン、
細胞外基質など様々な要因が絡み合っていると考えられている。
当然、若年者は高齢者に比して、細胞の機能が活発なので、
がん化や転移・進展に関わる多種多様な事象が
高齢者よりも若年者において活発に起こっているともいえる。
posted by すだち at 19:00| 岡山 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 医療関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月08日

手足口病に抗菌剤を処方するのは妥当か?

手足口病が関東地方で感染拡大しているとの報道がっ。
多くは子供の病気なのだが、
一緒に暮らす親も感染したりすることもある。

さて、レセ業務で気づいた事例で、
医師の診断名が「手足口病」なのだが、
抗菌剤が処方されている。

・・・・う〜ん。。
手足口病ってウイルス性じゃなかったっけか??

抗菌剤なんか効かんだろ〜




そう思ってネットで調べてみると
結構、抗生剤や抗菌剤が処方されることが多いみたいだ。


そんなわけで、
ちょっと手足口病についておさらいしておく。








====================



手足口病は、コクサッキーウイルスの一種が原因となって起こるウイルス性疾患。
手の平、足の裏、口内に水疱が発生する。乳児や幼児によく見られる疾患であるが成人にも見られる。
乳児ではまれに死亡することがある。


夏季を中心に流行し、汗疹と間違えられやすい。
感染者の鼻や咽頭からの分泌物、便などによる接触感染である。飛沫感染も起こる。


手足口病のための特別な治療法はない。
ただれた部位の熱や痛みといった個々の症状は、対症療法によって緩和する。
ただし、中枢神経症状が発生した場合は入院加療が必要である。


抗生物質の投与は意味がない。
ただし、ウイルス感染か細菌感染かは診断がつかない場合、
熱が出て細菌感染も否定できない場合に使用することがある。
明らかにウイルス感染である場合、抗生物質は使うべきない。


しばしば細菌感染を合併するので、
その予防に抗生物質を処方するという意見が日本ではあるが、
欧米では予防効果はないということが大規模研究で明らかになっており、
抗生物質は使うべきではないという考えが一般的である。



≪参考≫ 
手足口病 - Wikipedia 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%89%8B%E8%B6%B3%E5%8F%A3%E7%97%85 

抗生物質-シンガポール日本人会クリニック 
http://www.japanese-clinic.com.sg/kininaru/antibiotics.html 
posted by すだち at 22:00| 岡山 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 医療関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする