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2015年12月15日

新しい健康概念を押さえておくことが診療報酬改定を解くカギになる。

先日、厚労省より平成28年度の
診療報酬改定の基本方針が出された。


その中にこんな一文がある。
「高齢化の進展に伴い疾病構造が変化していく中で、「治す医療」から「治し、支える医療」への転換が求められるとともに、健康寿命の延伸の観点から予防・健康づくりの取組が重要となってくる」



病院とは治療するところ。
「病気や怪我を治したい」
患者さんの思いの多くはそこにある。


でも、医者は魔法使いでもなければ神でもない。
医療が発達した現代社会においても、
治せない疾患は数多くある。
誤解を恐れずに言えば、
ほとんどの病気は実は治せない。


慢性疾患・・・糖尿病や高血圧など・・・
いろんな治療法があるが、
完治させることができるわけではないし、
人は病気とともに生きていかなければならない。



こう考えたときに、
「そもそも健康って何だろう?」って。




健康という概念は時代とともに変わっている。
WHOが設立された1958年に、
健康概念についてこのように提唱された。

「健康とは、身体的にも精神的にも社会的にもすべての要素が揃った良好な状態のことをいい、単に疾病や虚弱ではないということではない」


例えば高齢者ならどうか。
多かれ少なかれ、なんらかの疾患を有している方が多く、
すべてが揃うのはなかなか難しい。
この定義でいうならば、
高齢者は皆(あるいは大部分の方が)、不健康ということになる。
果たしてそうなのだろうか?






WHOは1999年に新たな健康概念についてこのように提案している。

「健康とは身体的・精神的・霊的・社会的に完全に良好な動的状態であり、たんに病気あるいは虚弱でないことではない」
(Health is a dynamic state of complete physical, mental, spiritual and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.)


日本語訳にしてしまうと、
どうしても違和感を感じてしまう方もいると思うので、
ここでは英語の原文も併せて。

たぶん、日本語で分かりづらいのは
「霊的」と「動的状態」かと思うのですこし解説を。

「霊的」(spiritual)
霊的なんていうとなんだか宗教じみていて、
なんのことだか分からない感じであるが、
spiritualには、やる気とか前向きとか生きがい・・そんな意味合いが含まれている。
なので、ざっくりと意訳するならば「心豊かな状態」といった感じ。

「動的状態」(dynamic state)
そもそもなにが動的なのかというと、
健康であることと、疾病があることは、
常に変化しているものであって、
大きな視点で健康状態を捉えることを意味している。









つまり、
たとえ病気があったとしても、
たとえ体が不自由だったとしていも、
いきいきと充実した楽しい生活を送っていることこそが
「健康」といえるのではないだろうか?



一病息災
「持病が一つくらいある方が、無病の人より健康に注意して、かえって長生きであるということ」(広辞苑)





長く生きていれば、
誰しも怪我をしたり病気もする。
しかし、それは人生の中のマイナス要因ではなくて、
大きな視点でdynamicに捉えれば、
「一病息災」的に病気を受容し、
もっともっと前向きに心豊かに「spiritualに生きる」ことに
繋がっていく。
「健康」とは主観的であって個別的なものであり、
一人ひとりのwell-beingを実現する世界へ。




2025年問題を考えるうえで、
「健康とは何か?」をしっかりと捉えること。
ここを押さえておかないと、
今後の診療報酬・介護報酬の改定の意味が理解できなくなる。

posted by すだち at 23:59| 岡山 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 医療関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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