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2015年05月15日

「治療しろと頼んだわけでもないのに勝手に治療した。本人の同意無しに行った治療に対して治療費は払えない」と言われたら・・・

先日、日経メディカルオンラインを見てたら、
『「勝手に治療した」と激怒する泥酔患者』ってな記事があった。

その記事については取り上げないのだけど、
もしそんな患者が来たら・・・ってことで、
ちょっと考えてみたい。





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ケース)
路上にて意識不明の患者が救急車で運ばれてきた。
救命措置を行い一命を取り留めた。
その後、本人の意識も回復した。



よくあるケースであるが、もし治療後にこの患者が、

「治療しろと頼んだわけでもないのに勝手に治療した。
本人の同意無しに行った治療に対して治療費は払えない」

こう言ったとしたら・・・本当に払う必要はないのだろうか?





インフォームドコンセントの時代である現在では、
「説明と同意」が尊重されていて、
ちゃんと同意を取ってから治療しないといけないことになっている。

では、上記のように、本人が意識不明など
意思表示が困難な場合はどうすべきなのか。

本人に意思表示できない場合は、家族の同意を取ることもあるが、
緊急を要する場合や、身寄りのない人だと、それもできない。









では法的に考えてみる。

通常、患者が治療を受けることは、
法的には民法の「準委任契約」(民法第656条)と解されている。

つまり、患者が受付で「診察してほしい」との意思表示があって、
病院が「診察しましょう」と対応することで契約成立している。



さて、上記の事例では、
患者は意識不明で運ばれてきており、
「診察してほしい」という意思表示はなされていない。
なので「準委任契約」が成立する余地がないことになる。



でも、実は民法上では別の条文によって、
意思表示がなされていなくても診療ができるようになっている。
それが「緊急事務管理」(民法第698条)の規定。

本人の意思が確認できなくて、
医療契約が締結できない場合であっても、
一刻を争うような場合には、「緊急事務管理」の規定によって行なうことができるのだ。

「事務管理」というと何かデスクワークのようなイメージがあるが、
法的にはもっと広い意味として使われていて、
誤解を恐れずにザックリいうと「頼まれてもないけど、おせっかいします〜」的なもの。

さて、この「事務管理」は、
基本的に「準委任契約」に準じた権利・義務関係が発生することとなっているので、
病院側は最善を尽くさないといけないし、患者側は診療費の支払い義務が発生する。





ちなみに医師法第19条の応召義務では、
原則的に「診療を拒んではならない」ことになっていて、
診療の求めがあった場合は基本拒めない。
そこに「患者の意思」は無関係なので、
意識不明であっても、救急搬送されてきた時点で、
診療しないといけない状況下なのだ。

なので、どちらにしても、
診療を行なえば権利・義務関係が発生するので、
診療費の請求も法的に妥当であると言える。
posted by すだち at 23:59| 岡山 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 医療関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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